いざというときの生活保護制度の利用

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高齢者の中には、年金だけでは生活が成り立たず、医療費や家賃の負担が大きいなど、経済的な困難に直面している方もいます。

生活保護制度は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するために設けられた制度です。

お金が足りなくてご飯が食べられない、病院に行けないなどの状況にある人々を助ける、最後の頼りになるサポートです。

この制度は、高齢者が最低限の生活を維持できるよう、住居費や医療費の支援を行います。

また、食事や日用品の購入が難しい場合にも、必要な支援が提供されます。

高齢者が安心して暮らし続けるためには、公的支援を理解し、適切に活用することが重要です。

いざというときの安心を。生活保護制度の利用

あなたの生活を支える最後のセーフティネット生活保護制度
最後に

あなたの生活を支える最後のセーフティネット生活保護制度

生活保護制度とは、経済的に困窮している方に対し、最低限度の住まい、生活費、医療、介護などを保障するために、政府が提供する社会福祉制度の一つです。

生活保護は、世帯の収入が国が定める保護基準（最低生活費）に満たない場合に支給されます。

生活保護の申請をするにあたって知っておくこと

1.　住所がなくても申請することができる！

生活保護を申請する際、住所がない場合でも申請は可能です。

住所不定の方（ホームレスの方や公園、ネットカフェ、駅などで寝泊まりしている方）は、現在寝泊まりしている場所を管轄する福祉事務所で生活保護の申請ができます。

申請の際は、住所がない状況と現在の生活状況を詳しく説明する必要があります。

申請時に住所が必要ないものの、受給開始時には住所が必要となります。

住所不定の方が生活保護を受給する場合、無料低額宿泊所を利用することが一般的です。

この宿泊所では、郵便の受け取りも可能で、求職活動を行う際の住所としても利用できます。

2.　持ち家があっても申請することができる！

持ち家については、原則として住んでいる家は資産として扱われず、生活保護を受けることができます。

しかし、住んでいない家や土地は処分する必要がある場合があります。

例外として、持ち家の売却が求められるケースとしては、資産価値が高い場合や、住宅ローンが残っている場合などが挙げられます。

特に、持ち家の資産価値が生活保護の基準を超える場合、売却を求められる可能性が高くなります。

3.　家族がいる場合でも申請することができる！

家族からの援助が受けられない場合、生活保護を利用することができますが、受給は世帯単位で行われるため、家族の中で誰か一人だけが生活保護を受給することはできません。

世帯分離が認められる場合、家族内で収入が少ない人だけが生活保護を受給することも可能です。

世帯分離の手続きは、住民登録をしている市区町村の役所で行います。

世帯分離は、主に所得の少ない人や高齢の親の住民税を軽減する目的で利用されることが多いです。

4.　年金を受給していても申請することができる！

年金が最低生活費よりも少ない場合、生活保護が支給されることになります。

つまり、年金だけでは生活費が足りない場合、不足分を生活保護で補うことができます。

ただし、生活保護を受給する際には、その年金分が収入として計算されるため、生活保護の支給額がその分だけ減額されることがあります。

老齢年金、障害年金受給中でも生活保護を利用できます。

5.　借金があっても申請することができる！

申請者の中には借金を抱えている方もいます。

生活保護を受けられることになっても、借金の返済義務は継続します。

生活保護費を直接借金の返済に使用することはできませんが、節約することで借金の返済に充てることができます。

また、生活保護申請日前に行われた借金や援助については、生活保護の受給やその金額に影響はありません。

しかし、生活保護申請後に他者からの借金や経済的援助を受けた場合、生活保護費が減額されたり申請が却下される可能性があります。

6.　原則として車の所有は認められていないが・・・！

・　個人事業を営んでおり、営業のために自動車が必要な場合は、所有が認められることがある。

・　公共交通機関の利用が非常に難しい場合、通勤・通院・通所・通学のための自動車の所有が認められることがある。

ただし、①本人が障害者か交通の便が悪い地域に住んでいるか、②利用目的が通勤・通院などのどれに当たるかによって、適用条件が異なる。

・　就労を中断している場合の自動車保有を認められることがある。

・　保育園等の送迎のための通勤用自動車の保有を認められることがある。

いずれの場合も、細かい要件があり、最終的には福祉事務所の判断となります。

車の所持が認められるよう、自動車保有についての要件の緩和を求めてみてください。

【参考資料】：生活保護問題対策全国会議自動車を持ちながら生活保護を利用するために！Q＆A

生活保護申請をためらう扶養照会

生活保護の申請において、親族への扶養照会は大きな心理的障壁となっています。

扶養照会とは、生活保護を申請する際に、申請者の親族（通常は三親等内の親族）に対して、経済的な援助を提供できないかどうかを確認する手続きのことです。

厚生労働省の事務連絡によれば、「扶養義務履行が期待できない者」と判断された場合、扶養照会を行わないことが認められています。

以下のようなケースが該当します。

扶養義務者の状態

・3親等以内の親族が被保護者、社会福祉施設入所者、長期入院患者

・非稼働者（専業主婦・主夫等）、未成年者、高齢者（概ね70歳以上）

特別な事情

・借金を重ねている、相続をめぐり対立しているなどの関係不良

・長期間（例えば10年程度）音信不通である場合

・扶養が自立を阻害する場合

・DVから逃れた母子、過去に虐待を受けた者など

これらの例に直接当てはまらない場合でも、同等と判断される場合は扶養照会を行わない対応が可能です。

【参考資料】：厚生労働省「扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について」

扶養照会が免除されることで、申請者の心理的負担を軽減し、スムーズな支援が期待されます。

扶養照会は、地域や福祉事務所職員の個々の判断によって対応が異なり、一貫性に欠けるといった課題があります。

親族への扶養照会をしないでほしい場合は、申請時に理由を詳しく明記した申出書を提出することで、扶養照会が止められる可能性があります。

あきらめずに、一度お試しください。

生活保護の手続き

どこに手続きをすればよいのか

現在住んでいる市町村の福祉事務所（生活保護課、生活支援課、福祉課など）

申請できる人は

・　本人（生活に困窮している人自身）

・　扶養義務者（申請者の親、子ども、兄弟姉妹など、扶養義務がある親族）

・　同居の親族（申請者と同居している親族）

申請時に必要となる書類は

・　生活保護申請書

窓口で交付してもらう。

事前に申請書を作成したい場合は「認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい支援検索ナビ COMPASS 生活保護申請書作成システム」で簡単に作成できます。

『家族に連絡がいくと問題がある』という項目に詳しい申請理由を記載いただくことで、扶養照会が止められる可能性があります。

自動車を所持したまま生活保護を申請したい場合は、「自動車保有に関する申立書」を提出するとスムーズです。

「自動車保有に関する申立書」が必要な方は、こちらからダウンロードしてください。

書き方については、「生活保護問題対策全国会議自動車を持ちながら生活保護を利用するために！Q＆A」をご覧ください。

持っていくとよいもの

・　通帳の写しや給与明細、年金証書

・　運転免許証、健康保険証、マイナンバーカードなどの本人確認書類

・　賃貸アパートなどに住んでいる場合は、賃貸契約書

・　印鑑

原則、申請書は書面で提出。

特別な事情がある場合は書面でなくても良いとされています。

申請書は自分で作成することも、福祉事務所窓口で受け取って記入することも可能です。

しかし、初めて窓口を訪れる際には、窓口で申請書を受け取ると、さまざまな質問を受けたり、長い説明を聞かされたりして、手続きが煩雑に感じ、申請を断念してしまうことがあります。

そのため、事前に申請書を作成しておけば、窓口でそのまま提出することで、手続きがスムーズに進む可能性が高まります。

ちなみに、福祉事務所が申請書を交付しない行為は違法です。

申請から受給可否の判定までどれくらい？

生活状況の調査や資産調査（預貯金、生命保険等）等を行った上で申請いただいた日から原則14日以内（調査に日時を要する特別な理由がある場合は最長30日）に生活保護を受給できるか、できないかの回答をいたします。

なお、生活保護の申請をしてから生活保護が開始されるまでの当座の生活費がない場合、社会福祉協議会が行う「臨時特例つなぎ資金貸付」をご利用いただける場合もあります。

※　「臨時特例つなぎ資金貸付」とは

公的給付制度又は公的貸付制度の給付等が開始するまでの当面の生活費です。

10万円以内の借入が可能で、連帯保証人は不要、無利子での貸付となります。

返済期限は交付日から1ヶ月以内です。

貸付の申し込みは、各市町の社会福祉協議会で受け付けています。

どのような給付が受けられるのか

①　【生活扶助】

食費、光熱水費、電話代、被服費など日常生活に必要な費用を支援するための金銭給付です。

②　【住宅扶助】

定められた額の範囲内で家賃分の金額が支給されます。住宅扶助には上限があり、生活保護受給者は原則としてこの上限を超える家賃の物件に居住することは認められていません。

上限額は地域によって異なります。

住宅扶助の対象には、家賃だけでなく、間代や地代、補修費、敷金・礼金、契約更新料、住宅維持費なども含まれます。

③　【教育扶助】

義務教育を受けるために必要な費用を支援する制度です。

具体的には、小学校や中学校に通うために必要な学用品費、通学用品費、学校給食費、教材費などが対象となります。

辞書や楽器、学級費など細かいものについても支給される場合がありますので、担当のケースワーカーに相談してみましょう。

高校は、【生業扶助】でカバーしています。

④　【医療扶助】

ほとんどの生活保護受給者の医療費はその全額を医療扶助で負担します。

費用は直接医療機関へ支払われ、基本的に受給者本人に医療費が渡されることはありません。

医療扶助の対象には、①診察、②薬剤又は治療材料、③医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術、④居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護、⑤病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護、⑥移送などが含まれます。

マイナンバーカードを健康保険証として利用登録しておけば、病院の窓口でマイナンバーカードを提示するだけで受診できます。

福祉事務所へ医療券を取りに行ったり、病院の窓口で医療券を提示したりする必要がないため、医療券の提示に抵抗がある方にとって便利な方法です。

⑤　【介護扶助】

この制度は、介護が必要な生活保護受給者に対して、介護サービスや福祉用具の貸与などを提供することを目的としています。

介護扶助の対象となるのは、生活保護を受給している要介護者または要支援者です。

具体的には、介護保険法に基づく要介護または要支援の認定を受けた方が対象となります。

介護扶助で支給されるものには、

・　自宅での介護を必要とする場合、訪問介護やデイサービス、ショートステイなどが支給

・　特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホームなど、施設に入所する際の費用が支給

・　車椅子や歩行器、ベッドなど、介護に必要な福祉用具の貸与

・　介護が必要な方の自宅をバリアフリーにするための改修費用を支給

・　要支援者に対しては、介護予防のためのサービスも支給

受給者は、直接的に支払いを行うことなく、サービスを受けることができます。

⑥　【出産扶助】

出産にかかる医療費や入院費用は支給されます。

特に、生活保護法指定病院での出産においては、必要な費用が全額支給されることが一般的です。

異常分娩の場合、医療扶助の対象となるのは生活保護法指定医療機関に限られることがあります。

そのため、出産予定の病院が生活保護法指定医療機関であるかどうかを事前に確認することが重要です。

出産に伴う入院費用も扶助の対象となります。

具体的には、入院日数に応じた必要最小限の費用が支給されます。

実際に発生した費用に対して支給します。

⑦　【生業扶助】

受給者が就職活動を行う際に必要な費用や、教育に関連する費用をカバーすることを目的としています。

生業扶助の主な目的は、要保護者の稼働能力を引き出し、それを助長することによって、その者の自立を図ることです。

・　生活保護世帯の子どもが高校に通うために必要な学費や教材費、交通費などを支援します。全日制、定時制、通信制の高校や高等専門学校が対象

・　生計の維持に役立つ技能を修得するための授業料や教材費を支給

・　就職が決まった受給者に対して、スーツや靴などの購入費用を支給

・　小規模な事業を営むために必要な資金や器具、資料代を支給

実際に発生した費用に対して支給します。

⑧　【葬祭扶助】

祭扶助制度は、生活保護を受給している方やその遺族が葬儀費用を賄えない場合に、自治体が支給する制度です。

この制度は、葬儀を行う際に必要な最低限の費用を支給するものであり、通常の葬儀の形式を取ることはできません。「直葬」が主流。

葬祭扶助の支給金額は、火葬料、棺代、遺体搬送費用などの必要な葬祭費用として支給され、故人の年齢や地域によって金額が異なります。

一般的に大人の場合は約21万円、子どもの場合は約17万円が上限となっています。

葬祭扶助を受けるためには、葬儀前に故人の住民票がある自治体の福祉事務所に申請し、死亡診断書や生活保護受給証明書などを提出する必要があります。

申請後の審査を経て支給が決定されると、葬儀社に直接支払われます。