身寄りのない方が亡くなった場合の遺品整理は?
身寄りのない方が亡くなりその方に相続人がいない場合、原則残った財産は国庫に帰属します。
ただ、自動的に国庫に帰属するわけではありません。
相続人がいる場合の遺品整理
身寄りがなくても亡くなった方に相続人がいる場合は、その相続人が財産を承継しますので相続人以外の人が亡くなった方の家財を勝手に処分できません。
例えば、亡くなった方が住んでいた賃貸アパート等の大家さんは亡くなった方の家財を勝手に処分できません。
相続人がまったくいない場合の遺品整理
身寄りがなく相続人がまったくいない場合も亡くなった方の家財を勝手に処分できません。
相続人全員が相続放棄をした場合も、初めから相続人とならなかったとみなされ相続人がいないということになりますので相続人がまったくいない場合に含みます。
この場合、家庭裁判所に相続財産清算人の申し立てをして、家財などの処分をしてもらいます。
相続財産清算人選任の申し立てを行う際、遺産の額が少なく相続財産清算人の報酬が支払えない場合に備えて、20万円~100万円程度の予納金を求められることが多いようです。近年は、100万円近く求められる傾向があります。
予納金の金額は事案の内容に応じて裁判所が判断します。
そして最終的に亡くなった方の財産は国へ帰属します。
※「相続財産清算人」(旧「相続財産管理人」)の名称は、令和5年4月1日以降に選任された場合に使用されます。
こんな手間なことを申立人にお願いするのは酷なので死後事務委任契約書と遺言書を事前に用意しておくことが望ましいです。
デジタル遺品の整理
現代の社会では、スマートフォンやデジタルカメラを使って写真や動画を撮影し、SNSに投稿したり電子メールを通じてコミュニケーションを取ることが一般的です。
これらのデジタルデータは、個人の思い出や日常の瞬間を記録し、交流するための重要な手段となっています。
しかし、これらのデジタルデータは、その人が亡くなった場合に故人のデジタル遺品として残ります。
このようなデータの扱いには慎重さが求められます。
故人のデジタル遺品は、家族や友人にとって特別な思い出を保存する機会でもありますが、同時にプライバシーやセキュリティの観点からも注意が必要です。
デジタル遺品とは
- 故人のスマホ
- 故人のパソコン
- 故人のSNSのアカウント
- 故人の記録メディア(外付けハードディスク、SDカード等)
- 故人のデジカメ
- 故人のデジタルデータ(電子書籍、音楽データ)
- 故人の周辺機器
- 故人のネット銀行口座
- 故人の電子マネーやクレジットカード
- 故人の暗号資産
- 故人のサブスクリプション(例 動画配信サービスの定額サービスや月額課金等)
デジタル遺産を放置しておくと、「アカウントが悪意のある人に乗っ取られて悪用されるのではないか」という不安や「拡散されたり、半永久的に残ったりするのではないか」という心配が膨らんでくることは十分に理解できます。
これらの不安や恐れを軽減するためには、故人のデジタル遺産に対する適切な対策が必要です。
デジタル終活は増えている?
デジタル終活の認知率は徐々に高まっています。
スマホやパソコン、インターネット上に保管されているデータなどを生前に整理整頓しときましょう。
- デジタル情報やアカウントを一覧化し、重要なデータを整理します。
- 適切なパスワード管理が重要です。
- 死後事務委任契約書に具体的な指示を記載する。
- アカウントの削除
例えば、オンラインアカウント、SNSのログイン情報、パスワード、メールアドレス、オンラインストレージ(グーグルドライブ等)、電子マネー(suica等)、電子決済(クレジットカード等)などの情報を記録しておきます。
強力なパスワードを生成し、セキュリティを強化します。遺族や将来の面倒を見てもらう第三者には、これらのパスワードを安全に引き継げるように手続きを整えることが大切です。
身寄りのない方の場合は、死後事務委任契約書を作成して、パスワードを紙に書き死後事務受任者に渡し遺言書、死後事務委任契約書といっしょに保管してもらいましょう。
死後事務委任契約書にデジタル遺産に関する具体的な指示を記載することで、遺族や第三者に遺品の処理方法を明確に伝えることができます。
例えば、デジタルコンテンツの削除やDVDの廃棄、アカウントの凍結など、デジタル遺品の意図を反映する内容を記載します。
身寄りのない方は、不要なデジタルアカウントを削除したり、個人情報を削除したりする方法を事前に指示することで、個人情報の保護を図ります。
デジタル終活は、身寄りのない高齢者にとっても重要な対策です。
信頼できる第三者や専門家の助けを借りながら、デジタル遺産を整理・管理することで、大切な情報を適切に守ることができます。