身寄りのない方の住まいの選び方は?
高齢者施設と言っても、費用や提供されるサービスは多種多様です。
自身に適した施設を選ぶことは非常に難しいです。
近所という理由で、近隣の施設を選んでしまうと、後で後悔してしまう可能性もあります。
費用だけでなく、提供されるサービスや施設の雰囲気、スタッフの質なども考慮すべきポイントです。
十分な情報収集と比較検討を行うことで、後悔を避けることができるでしょう。
お元気な内に入居したい方
何よりも費用面を重視したい
◎ ケアハウス(軽費老人ホーム)
◎ シルバーハウジング(高齢者世帯向けの公的賃貸住宅)
サービス面を重視したい
◎ サービス付高齢者住宅(サ高住)
◎ 住宅型有料老人ホーム
介護が必要になったから入居したい方
何よりも費用面を重視したい
◎ 特別養護老人ホーム(特養)
認知症等で入居が必要になった
◎ 介護医療院
◎ 介護老人保健施設(老健)
◎ グループホーム
サービス面を重視したい
◎ 介護付き有料老人ホーム
◎ 住宅型有料老人ホーム
安さを重視するのなら公的施設です。
サービスを重視するのなら民間施設です。
公的/民間が運営している高齢者の住まい |
|
名称 |
|
公的 |
軽費老人ホーム(ケアハウス) |
公的 |
特別養護老人ホーム(特養) |
公的 |
介護老人保健施設(老健) |
公的 |
介護医療院 |
民間 |
サービス付き高齢者住宅(サ高住) |
民間 |
有料老人ホーム(介護付き・住宅型) |
民間 |
グループホーム |
老人ホームの探し方
地域包括支援センター
・高齢者施設のリストを提供されるだけで、施設探しは基本的にご自身で行う。
※ 施設探しのサポートを希望される方は、対面型の老人ホーム紹介センターを利用するのが適切。
・基本情報は持っているが、詳しくはない。
・住んでいるその地域のことしかわからない。
ケアマネジャー
・要支援・要介護認定を受けている方はケアマネジャーに相談もできますが、施設探しは業務範囲外。
・地域の施設に詳しい。
・担当している地域以外のことはわからない。
【対面型】 老人ホーム紹介センター
・高齢者施設は細かく分類すると10種類以上あり、一般の方がそれぞれの違いを理解して適切に選ぶのは容易ではないので、専門の相談員が利用者やご家族のご要望を伺い、最適な施設を代わりに探してくれる。
・無料で老人ホームの紹介を専門に行っている。
・施設見学に同行してくれる。
・ご本人が老人ホームに入りたがらないときに相談してくれる。
・老人ホームの入居に迷っているときに相談してくれる。
・施設とご本人のミスマッチを減らせる。
・家族内で意見が割れているときに相談してくれる。
・特定の施設に偏って紹介する恐れがある。
【ネット型】 老人ホーム紹介サイト
・全国エリアを対象としている。
・無料で簡単に検索できる。
・「安いならどこの老人ホームでもOK。」という方には良い。
・ホームページから資料請求できる。
・施設見学は個人で行く。
高齢者施設を選ぶポイント
① 高齢者施設が提携している医療施設(診療科目)を確認しましょう。
例えば、腰痛持ちでしたら、整形外科と提携している高齢者施設に入居するようにしましょう。
② 入居者の属性を確認しましょう。
ご本人と近い属性(年齢・介護度・男女比率)の方が入居している施設を選びましょう。
例えば、ご本人は元気だが、入居者のほとんどが寝たきりだったら、日常の交流や活動の幅が制限されてしまい、自身の状態も悪化する可能性があるかもしれません。
③ 周辺環境を確認しましょう。
車の通りが少ない、近くに公園がある、段差が少ないなど施設の周辺状況も確認しましょう。
また、医療機関やショッピング施設へのアクセスも考慮すべきポイントです。
④ 施設見学の際は、宿泊体験や食事の試食をしましょう。
施設見学では、比較検討するため、最低2か所以上は見学しましょう。
食事の質がご本人の口に合うかどうかもポイントとなります。
⑤ 配置している職員の人数を確認しましょう。
入居者1人に対する配置職員数を確認しましょう。
➅ レクリエーション、イベント等の運営体制を確認しましょう。
運営懇談会が定期的に行われているか、施設運営が確認できる状態になっているか、レクリエーションの提供、スタッフの対応なども重要な要素となります。
➆ 認知症になったり、介護度が上がったら、退所されるのか確認しましょう。
終末期に入ったら最後まで看取りをしてもらえるのかも確認しましょう。
➇ 入院することになった場合どうなるか確認しましょう。
施設入居中に急遽入院することも考えられます。
施設の月額費用はどうなるのか、退院したら施設へ戻ってこれるのか確認しときましょう。
高齢者施設選びの注意点
自立型の高級ホテルのような高齢者施設に入居した場合でも、将来的に体調が悪化し、介護が必要になり要介護状態に合わせた施設への移転が必要となる場合があります。
したがって、施設を検討している方やその家族が高級な高齢者施設を選択する際には、将来的な介護ニーズも考慮し、必要な支援を受ける体制を整えておくことが重要です。
事前に知っておくべき入居に伴う手続き
高齢者施設に入居・入院したときに気をつけたい「郵便物」のこと
ご家族がいる方は、施設入居や病院への入院の際も郵便物の管理などを家族が対応してくれることが多いですが、単身生活をされている「おひとりさま」の場合は注意が必要です。
高齢者施設への入居や長期入院により自宅が空き家になると、郵便受けに郵便物が溜まり、ご近所の方に不審がられたり、空き家であることが周囲に知られてしまう可能性があります。
その結果、不法侵入や詐欺などに利用されるリスクが高まり、個人情報が盗まれて犯罪に巻き込まれるおそれもあります。
さらに、重要な書類や各種税金(固定資産税など)の支払いを見落とすリスクもあるため、可能であれば、住民票を移せる施設であれば移しておくことをおすすめします。
まずは郵便局の転送サービスを利用し、住民票の異動は、長期間の入居が確定してから検討されるとよいでしょう。
1. 郵便局の転送サービスの利用
このサービスは、日本郵便が取り扱う郵便物を、旧住所から新住所へ1年間無料で転送してくれるものです。
1年の転送期間が終了する前に、再度『転居届(転送サービス)』を提出すれば、さらに1年間の延長が可能です。
ただし、同じ手続きを繰り返すことで延長はできますが、このサービスはあくまで一時的な措置であり、恒久的なものではありません。
そのため、長期的に郵便物の受け取りを継続したい場合は、住民票の住所変更など、正式な手続きを行うことが望まれます。
高齢者施設や病院へ転送することも可能です。
【転送サービスの申請方法】
2. 郵便局の窓口で申請
3. ポスト投函
【転送されないもの】
差出人が『転送不要』や『転送不可』と表示した郵便物、またはそれに該当する重要書類は、郵便局の転送サービスでは転送されません。
一般的に『転送不要』とされることが多い郵便物の例としては、クレジットカードやキャッシュカード、税金・保険の納付書、年金関連書類、健康保険関連書類、銀行からの重要書類、自治体からの通知書類などが挙げられます。
【参考資料】郵便局:転居・転送サービス
施設や病院に入居されているご本人が、住民票をその所在地に移せない場合でも、その場所が一時的な滞在先として実際に居住していると認められる場合には、施設側や病院側と相談のうえ、郵便局に事情を説明し、転居届(転送サービス)の申請を行うことが可能です。
なお、単身で生活されているおひとりさまがご自身で申請できない場合には、身元保証人や成年後見人など、法的な代理権限を有する方による申請が求められることがあります。
その際には、委任状や本人確認書類の提出を求められる場合があるため、事前に郵便局へ相談・確認しておくことが重要です。
2. 住民票を施設に移す
入居する高齢者施設によっては、住民票をその施設の住所へ移すことが可能です。
住民票を移すことで、このようなメリットがあります。
・住民票を移すことで、行政からの通知が施設所在地へ届く。
・施設所在地の市区町村のサービス(介護保険、医療サービスなど)をスムーズに受けられる。
・選挙権の行使がしやすくなる。
・緊急連絡や安否確認がスムーズになる。
・住所と実際の居住地が一致するため、各種申請が簡素化する。
ただし、すべての施設で住民票の異動が認められているわけではありません。
長期入居を前提とした施設では、住民票を移すことが一般的です。
【住民票を移せる施設】
・特別養護老人ホーム(特養)
・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
・介護付有料老人ホーム
・住宅型有料老人ホーム
【住民票を移せない施設】
・病院
・介護老人保健施設(老健)
介護施設の中には「地域密着型」と呼ばれるものがあり、特別養護老人ホームや一部の有料老人ホームの中にもこのタイプがあります。
これらの施設は原則として、施設が所在する市町村の住民でなければ入居できません。
そのため、どうしても地域密着型の施設への入居を希望する場合は、住民票をその市町村に移し、一定期間の居住実績が必要になることがあります。
単に住民票を移しただけではすぐに入居できない可能性がある、という点に注意が必要です。
また、住民票の異動が可能かどうかは施設ごとに異なるため、事前に施設と市区町村の両方に確認しましょう。
住民票を移すことで、国民健康保険や介護保険、後期高齢者医療制度の保険料が、安くなる場合もあれば、逆に高くなる場合もあります。
保険料が高くなる場合でも、「住所地特例制度」を利用し、一定の条件を満たして特定の施設に入所したときに所定の手続きを行えば、従前の市区町村の保険料が適用される場合もあります。
【住所地特例制度の対象者】
・65歳以上の方(介護保険 第1号被保険者)
・40歳以上65歳未満の医療保険に加入している方(介護保険 第2号被保険者)
・住所地特例対象施設に入所した方
【住所地特例制度の対象施設】
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
・介護老人保健施設
・介護医療院
・養護老人ホーム・軽費老人ホーム(ケアハウス等)
・有料老人ホーム
・有料老人ホームに該当するサービス付き高齢者向け住宅
住民票を移すことで、住民税・選挙権・介護や医療などの行政サービスを提供する自治体も変わるため、こうした影響も十分に考慮して手続きすることが大切です。
また、高齢者施設に住民票を移した場合でも、当面は郵便局の転送サービスを併用することをおすすめします。
高齢者施設入居後の費用の捻出
施設入居後、高齢者施設の月額費用と生活費用をどうやって捻出しているかのモデルケースです。
参考になさってください。
- 年金 + 貯金の切り崩し (ほとんどの方)
- 年金 + 家族、親族の援助
- 年金のみ
- 年金 + 自宅の売却代金
- 年金 + 所有不動産を賃貸して得た家賃収入
生活保護を受給していても入居可能か?
基本的に、生活保護を受けている方でも、高齢者施設に入居することは可能です。
各高齢者施設には入居条件がありますが、入居費用を支払うことができれば、入居することはできます。
高齢者施設には施設ごとに異なる収入審査や入居人数制限が存在しますのでこの点を理解しておくべきです。
生活保護を受けているかどうかに関係なく、入居条件や制約は施設によって異なりますので、入居を検討する際にはそれらの条件を確認することが重要です。
軽費老人ホーム、ケアハウス、グループホーム、およびサービス付高齢者住宅(サ高住)は、入居が比較的容易であるとされています。
ただし、入居できないケースもあるため、この点には注意が必要です。
生活保護受給担当のケースワーカー、や地域包括支援センターに相談し、また紹介サイトを通じて多くの高齢者施設を見つけることができます。
ぜひ、活用してみてください。
【生活保護制度】についてはこちらをご覧ください。
「いざというときの生活保護制度の利用」