一人暮らしをより快適に!注目の介護保険外サービスの時代到来
シニアの5人に1人が一人暮らしをしており、家族の支援が受けにくい現状があります。
介護保険制度ではカバーしきれない、病院付き添いや家事支援、死後の整理などのニーズが増えており、介護保険外サービスの充実が急務です。
介護従事者が本来の業務に集中できるよう、これらのサービスと連携することが求められています。
超高齢社会における地域ケアには、介護保険内外のサービスが緊密に連携し、高齢者支援の「必須のパートナー」として重要性が増しています。
介護保険外サービスに関する国の方針と展望
「令和6年12月12日ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会中間整理」では、ケアマネジャーの業務負担増加に対する対策として、介護保険外サービスの活用を重要視しています。
郵便物の取扱いや書類作成、代筆・代読、救急搬送時の同乗といった法定外業務を個人の問題ではなく地域全体の課題として捉え直しています。
これらの業務については、ケアマネジャー自身が保険外サービスとして提供するか、あるいは民間事業者や地域の団体等につなぐことで対応する方向性が示されています。
「2025年1月31日高齢者介護関連サービス産業発展に関する戦略検討会」では、以下の内容が記されています。
具体的な国の政策の方向性
1. 介護保険でカバーされない民間サービスの促進
多様な民間サービスを充実させ、仕事と家族介護の両立を支援し、介護者の自由な時間を増やすことを目指します。
2. 会社での仕事と介護の両立支援
企業は従業員の介護状況を把握し、仕事と家族介護の両立を支援するため、介護サービス活用の環境整備を進めます。
3. 介護に対する社会全体の理解促進
介護を個人の問題ではなく社会全体の課題と捉え、知識と理解を深める活動を通じ、誰もが関わる可能性があるという意識を広めます。
介護保険外サービスの促進によって期待される効果
1. 新しいサービスが生まれる
介護保険外の日常的な困りごと(買い物の手伝いや電球交換など)に対応するサービスが増え、これまで応えられなかったニーズに対応する新たな市場が生まれます。
2. 働きながら介護をする家族の負担が減る
家族が必要な時に、夜間・休日や急な残業にも対応する柔軟なサービスが利用でき、時間に余裕が生まれ精神的負担が軽減されます。
3. 国の介護にかかる費用を抑えられる
一部のサービスを民間へ移行することで、国や自治体の負担が軽減され、介護保険制度の持続性が向上します。
4. 介護の人手不足を緩和できる
様々な企業やNPO、地域のボランティア、高齢者等終身サポート事業者などの多様な人たちが介護サービスの担い手になることで現在、人手が足りないと言われている介護の現場の負担を減らすことができます。
政府は、介護保険外のサービスを新しい介護の選択肢として考えています。
簡単に言えば、介護の担い手確保が困難になっている現状を打破し、将来的に介護保険財源だけでは十分なサービス提供が難しくなることに対応するため、『介護保険と民間サービスの両方を上手に活用することで、高齢者の暮らしの質を向上させつつ、介護保険制度の持続も確保できる』という考えです。
介護保険外サービスの必要性
従来の介護保険制度だけでは対応しきれないニーズが拡大しています。
■ 介護保険制度には“できないこと”がある
介護保険は、要介護認定または要支援認定を受けた方を対象とした日常生活上の支援やサービスを提供する制度ですが、実際の介護現場ではそれ以外の多様な支援も求められています。
・ 本人や家族からのサービス調整等に関わらない、電話、メール、SNS等への対応、時間外相談
・ 入院・通院時の付き添い・送迎
・ 入退院にかかる手続きや申請、支払いの代行・支援
・ 入院中・入所中の着替えや必需品の調達
・ 介護保険制度以外の行政への手続きや申請の代行・支援
・ 金融機関やその他各種機関の手続きや申請の代行・支援
・ 部屋の片づけ・ゴミ出し、買い物などの家事支援
・ 代読、代筆
・ 郵便・宅配便の受取・投函
・ 入院や施設入所時の「身元保証」
・ 判断能力が低下した後の「成年後見制度」
・ 死後の「葬儀・納骨・家財整理」などの多種にわたる「死後事務手続き」
これらは介護保険の支給対象外であり、公的サービスではカバーできない領域です。
■ 地域包括ケアの実現には民間連携が不可欠
厚生労働省が推進する「地域包括ケアシステム」では、住まい・医療・介護・生活支援・見守りを一体で支える地域体制の構築が求められています。
その中でも、公的制度だけでは補えない部分を民間の介護保険外サービスが担うことが期待されています。
■ 介護現場の“人手不足”と業務過多
現場ではケアマネジャーさんや介護職員の業務がひっ迫しており、業務外の相談や手続きまで対応するのは現実的ではありません。
そこで、保険外サービスとの連携により、介護職の業務負担を軽減し、本来のケアに専念できる環境づくりが進みます。
介護保険外サービスは、「制度のすき間」を埋め、頼れる人がいないおひとり様や支援が届きにくい人々を支えるための“地域の新しいインフラ”です。
今後は、介護事業者・医療機関・高齢者等終身サポート事業者などの民間サービスが一体となり、地域全体でシニアの方々を支える仕組みが求められます。
【参考資料】三菱UFJリサーチ&コンサルティング:地域包括ケアシステムにおける ケアマネジメントのあり方に関する 調査研究事業 報告書
知っておきたい介護保険外サービスの種類
介護保険外サービスの利用状況
最も多く利用されているのは食事宅配サービス
食事宅配サービスが55.4%と過半数を占める結果となったことは、高齢者や介護が必要な方々の生活における重要なニーズを映し出しています。
特に近年、一人暮らしのシニアの方が増加傾向にある社会背景が、この結果に影響していると考えられます。
家族と同居していないシニアの方にとって、毎日の食事の用意は体力的にも時間的にも大きな負担となります。
食事宅配サービスはこの日常的な負担を大幅に軽減する役割を果たしています。
さらに、定期的な配達を通じた安否確認機能は、単身生活者のおひとり様にとって安心です。
第2位は訪問理美容
訪問理美容が介護保険外サービスの利用で第2位であることは、シニアの方々が自宅や介護施設での身だしなみに強い関心をもっていることを示しています。
外出が難しいシニアの方にとって、訪問理美容は生活の質を維持するために重要な役割を果たしており、さらに、高齢者人口が増加する現代において、プロのサービスを自宅で受けられる「訪問型」のニーズが高まっていることも明らかになっています。
続けて「生活支援サービス」など
続いて多かったのは、生活支援サービスである見守りサービス(18.8%)、家事代行(19.6%)、外出支援(19.6%)で、いずれもほぼ同じ利用率となっています。
これは、高齢者が日々の生活の中で、それぞれのサポートを必要としているためと考えられます。
たとえば、一人暮らしの不安を軽減するには見守りサービスが役立ちますし、家事が負担になってきた人には家事代行が支えになります。
また、外出支援は買い物や病院への付き添いなどに利用されます。
このように、それぞれのサービスが「安心・生活・つながり」を支える役割を果たしていると考えられます。
介護保険外サービスの種類
配食サービス
比較項目 | 自治体の配食サービス | 民間の配食サービス |
---|---|---|
対象者 | 高齢者(65歳以上)など、特定の条件に限定されている | 基本的に誰でも利用可能 |
料金体系 | 自治体の補助があるため低価格(400円程度) | 市場価格(400円~1,000円程度) |
メニュー | 選択肢が限られていることが多い | 多様なメニュー、食事制限対応など選択が可能 |
安否確認機能 | 配達時の安否確認が主要な目的の一つ | 基本、安否確認を明示的に行わない場合もある |
自治体の配食サービスは費用が低額ですが、対象者が高齢者など特定の条件を満たす方に限定されています。
ご利用を検討される場合は、お住まいの自治体のホームページや窓口で詳細な条件や申請方法をご確認ください。
配食サービス業者を一括検索できるサイトで、お住まいの住所を入力するだけで、お住まいの地域に対応している業者を簡単に探すことができます。
・ 配食ねっと
地域や郵便番号を入力することで、対応する業者を見つけることができます。
また、業者ごとの詳細情報や料金体系を比較することも可能です。
・ らいふーど
高齢者向けの宅配弁当や配食サービスを比較・資料請求できるサイトです。
郵便番号を入力することで、近隣の宅配弁当業者を検索し、資料を一括で請求できます。
高齢者向けの宅配食事サービスを一括で資料請求できるサイトです。
お届け先の地域と食事タイプを選択するだけで、利用可能なサービスの一覧が表示されます。
買い物代行サービス
介護保険の買い物代行は訪問介護の生活援助として提供され、介護認定を受けた方のみが利用できるサービスです。
このサービスでは、利用者本人の「生活必需品」や「薬の受け取り」といった基本的な買い物のみに限定されています。
一方、介護保険外の買い物代行サービスは年齢や身体状況に関わらず誰でも利用可能で、お歳暮やお中元などの贈答品、同居家族のための食品や日用品、さらにはお酒、タバコ、スナック菓子などの嗜好品まで、幅広い買い物に対応しています。
特に、一人暮らしのシニアの方々には、重い飲料水やお米などのかさばる食品、家電製品の購入、また急な体調不良時には薬局での市販薬購入などにも買い物代行サービスは活用されています。
買い物代行サービスのウェブサイトをご紹介いたします。
業者によってはサービスを提供していないエリアもありますので、お住まいの地域で買い物代行サービスを探す際は、「地域名 買い物代行」でインターネット検索してご確認ください。
・ CaSy
買い物代行に加えて掃除や料理の代行も行っています。
買物まで頼める便利なお料理代行。1時間 2,790円〜(税込/交通費・食材費別)。オプション(有料)にてお買い物も承ります。
急な病気や用事、妊娠中・育児中などで外出が難しい方のために、全国どこでも買い物代行に対応できるサポーターがお手伝いいたします。
支援者によって金額は異なります。
・ ベアーズ
消耗品から家具家電まで、ご要望にあわせて幅広く対応しています。
お客様のご要望を確認の上、お見積もりしています。
住まいの環境整備に関する支援サービス
慣れ親しんだ家で心地よく過ごし続けるためには、住環境を整えることが非常に重要です。
下記に記載しているサービスは、介護保険の対象外となります。
・庭仕事(草むしりや庭木への水やりなど)
・ペットの散歩および餌やり
・家具の配置換え
・電球の交換
・古新聞の束ね
・トイレのつまりや水漏れなどのトラブル対応
・公共料金のお支払い
・手紙の投函
・不要なものの処分
・片付けの手伝い
・ご本人以外のお部屋の清掃
・ご家族向けの家事支援 など
これらのお困りごとは、いわゆる『便利屋さん』が対応している場合がありますので、お近くの便利屋さんにご相談されることをおすすめします。
「地域名 便利屋」でインターネット検索するほか、新聞の折込チラシやポストに投函されるチラシなども参考にして、ご検討ください。
旅行(おでかけ)支援
「もう旅行なんて無理かもしれない」「病院以外、外に出る機会がない」
高齢や介護が必要になると外出がハードルになりますが、諦める必要はありません。
介護保険対象外で、専門の『トラベルヘルパー』が外出をサポートしてくれる民間サービスがあります。
・ 車椅子でも旅行に行きたい
・ ひとりでは心細くて外出ができない
・ 遠方のお墓参りに行きたい
・ 家族と一緒に出かけたいが介助者がいない
・ 病院や施設以外の“目的ある外出”がしたい
このような場合、トラベルヘルパーは、外出に不安を感じる方々の移動、行動、安全をサポートいたします。
トラベルヘルパー同行のツアーもあります。
一般の団体ツアーとは異なり、参加者一人ひとりのペースや体調を最優先に考えたプランとなっています。
また、近年では、デイサービスや訪問看護サービスなどの介護保険事業者が、保険外サービスとして利用者向けの旅行を企画・提供するケースも増えています。
・ あ・える倶楽部
介護旅行30年の実績!あ・える倶楽部は、外出支援のプロ「トラベルヘルパー」が、ふるさとへの帰省やお墓参り、旅行、イベント参加など、お客様の「行きたい」を叶えます。
JTBはユニバーサルツーリズムに取り組み、トラベルヘルパーを通じて、車椅子利用者への介助や食事・入浴介助など、旅行中に安心して楽しめるサービスを提供しています。
結婚式、旅行、買い物、行楽、冠婚葬祭、通院、散歩など、様々な外出の際、ご要望に応じた介護・介助プランをご提案します。
運動(介護予防)
歳を重ねても「自分の足で歩きたい」「好きな趣味を続けたい」――そんな願いを叶えるのが、介護保険外のシニア向け運動教室です。
介護保険外の運動教室は、自費サービスならではの自由度と多様性を活かし、高齢者の“健康寿命延伸”を目的としたプログラムを提供しています。
主なサービスには以下のようなものがあります。
・ 公民館やフィットネスクラブでのグループ教室 (ヨガ、体操、太極拳など)
・ オンライン配信による自宅フィットネス (動画・ライブレッスン)
・ 自宅訪問型の「宅リハ」 (理学療法士等による個別リハビリ)
最近では、フィットネスクラブが介護施設にトレーナーを派遣し、運動プログラムを提供するケースも増えています。
これらのサービスを活用することで、筋力・バランス・認知機能の維持・向上が期待でき、転倒や要介護状態になるリスクを軽減し、自立した生活の質(QOL)を高めることができます。
介護予防サービスについては、社会福祉協議会、市区町村、地域包括支援センターなどでご案内していますので、各窓口にお問い合わせください。
理容・美容
身だしなみを整えたりおしゃれを楽しむことは、日常に小さな幸せをプラスし、生活の質をぐんと良くしてくれます。
訪問理美容サービスは、理美容師が自宅や高齢者施設を訪問してヘアカットや髭剃りなどの施術を提供するサービスです。
このサービスは単なる清潔維持だけでなく、見た目を整えることで自信を取り戻すきっかけとなり、また理美容師との会話を通じて社会とのつながりを感じられる機会にもなります。
スキンケアやメイクアップ、マッサージなどのサービスもあり、化粧をすることは自己意識や他者への関心を高め、外出や交流への意欲を引き出す効果があります。
マッサージによる身体的接触は不安を和らげ、心身をリラックスさせる効果があるとされています。
訪問理美容は、地域によって訪問費が助成され、無料になる場合もあります。
詳しくは市区町村にお問い合わせいただくか、「地域名 訪問理美容」で検索し、対応事業者に確認してみてください。
みまもり
シニアのおひとり様が年々増加する中、「万が一のときに誰にも気づかれないのでは」という漠然とした不安を抱える方が少なくありません。
実際、数日間連絡が取れずに新聞や郵便物がたまって初めて異変が明らかになるケースも珍しくありません。
一方で、「見守られると年寄り扱いされる気がしてしまう」と抵抗を感じる方がいるのも事実です。
しかし離れて暮らすご家族にとっては、定期的な見守りサービスが「今日も元気で過ごしている」という何よりの安心につながります。
室内の見守りサービス
このサービスは、高齢者の自宅での様子を確認し、何らかの変化があった際に家族に知らせるものです。
訪問や電話による人を介した見守りのほか、機器やセンサーを用いた見守りも提供されています。
例えば、訪問や電話で高齢者の状態を確認して、ご家族へその状況を伝えるサービスや、食事宅配に見守り機能を付加したサービスがあります。
また、遠くに住む家族が高齢者の生活状況を把握するために、センサーやコミュニケーションロボットなどの機器を活用するサービスも増えています。
このような見守りサービスは、特に一人暮らしの高齢者や、熱中症の危険がある夏場などに不安を感じる方、あるいは離れて暮らす家族が高齢者の日常を確認したい場合に役立ちます。
「みまもりでんわサービス」では、ご利用者さまへ毎日、ナレーターによる自動音声で体調確認の電話を行います(月額1,070円~)。
また、「みまもり訪問サービス」では、月に1回、郵便局員が直接訪問し、安否確認を行います(月額2,500円)。
お届け方法を、ヤクルトレディによる手渡しを選ぶと、直接受け取りができるため、安否確認にもつながります。
また、一部地域では、社会福祉協議会と連携し、ヤクルトレディが配達時に安否確認を行っている場合があります。
配達と安否確認が無料で受けられることもあるため、地域の社会福祉協議会へご確認ください。
高齢者等終身サポート事業者向けのサービスです。
AIアシスタントが自動的に電話をかけて体調や気分を確認します。
異変があるか応答がない場合はスタッフに通知され、AIが相手なので気軽に話しやすいのが特徴です。
週2回電話、1人につき月額1,100円
屋外の見守りサービス
高齢者の見守りに関して、市町村による事業に加えて、民間企業から様々なサービスが提供されています。
これらのサービスは主に3つのカテゴリーに分類されます。
1つ目は、GPS端末等による位置把握・外出検知サービスです。
高齢者がGPS端末を携帯することで、現在位置や移動経路の把握、外出の検知が可能となります。
靴やお守り袋に端末を組み込むなど、高齢者が負担なく持ち運べる様々な形状の製品が用意されています。
2つ目は、キーホルダーやシールによる身元確認支援サービスです。
これらには緊急連絡先や個人ID等の情報が含まれており、高齢者が保護された際に迅速な身元確認が可能となります。
一部のサービスでは、個人情報を保護しながら、家族と発見者が直接連絡を取り合える機能も備えています。
3つ目は、アプリを通じた捜索依頼サービスです。
このサービスでは、一般の協力者に広く捜索協力を呼びかけることができ、高齢者本人が特別な機器を携帯する必要がないため、負担が最小限に抑えられます。
これらのサービスは、認知症等により行方不明の心配がある場合や、すぐに居場所を確認したい場合、日常的な行動範囲を把握したい場合など、家族のニーズに応じて選択することが重要です。
導入が簡単で維持費も安く、離れて暮らすご家族の居場所をいつでも確認できます。
シニアの一人暮らしの方の安否確認や、認知症の見守りにも適しています。
本体2,904円(期間限定) 月額通信費528円
・ 救急QR
緊急時の情報共有と位置通知ができるQRコード付きキーホルダーです。
QRを読み取ると医療情報が表示され、登録先に日時と場所が自動通知されます。
本体1,000円 月額料金なし
・ ココセコム
居場所の確認やセコムの駆けつけ、徘徊発見後のタクシー手配などに対応しています。
通報があると、ご家族・セコム・警察の三者通話も可能です。
初回8,470円 2か月目以降1,320円/月 セコムかけつけ料金11,000円/回
見守りサービスにはさまざまな種類や価格帯がありますので、まずは資料を取り寄せてご検討ください。
多くの市区町村で見守りサービスが導入されていますので、まずはお住まいの市区町村にお問い合わせいただくことをおすすめします。
自宅での看取り
多くの方が、できることなら自宅という慣れ親しんだ環境で、家族に囲まれながら最期を迎えたいと考えています。
そこで、「オーダーメイド型訪問看護」が注目されています。
個々の状況や希望に合わせたカスタマイズケアを提供し、安心して過ごせる環境を整備するとともに、身体面だけでなく精神面のケアにも注力し、利用者およびその家族の不安を軽減します。
(株)ホスピタリティ・ワンが提供する保険外型のオーダーメイド訪問看護サービスでは、専属の看護師が終末期の方のニーズに寄り添い、「家族と自宅で過ごしたい」といった希望に応じて、日帰りや一泊の一時帰宅をサポートします。
また、「地元で最期を迎えたい」という想いに応え、都市部から地方への転院に同行するケースもあり、新幹線などの移動手段を活用することで、時間や費用の面でも負担を軽減しています。
さらに、在宅での看取りについては、3か月以上にわたる24時間体制の訪問看護を整え、ご本人とご家族の不安を和らげながら、慣れ親しんだ自宅での穏やかな最期を実現します。
こうしたサービスは、他の訪問看護ステーションや保険会社などとの連携によって支えられており、公的制度の枠にとらわれない、新しいかたちの“自宅での看取り”として注目されています。
また、(株)インテルノスが提供する「アラジンケア」は、保険の枠にとらわれず、自由な訪問看護を実現することで、お客様の多様なご要望に柔軟に応える体制を整えています。
24時間365日対応可能であること。訪問のタイミングや滞在時間、訪問先もすべて利用者の希望に合わせて設定できるため、自宅はもちろん、施設からの外出、さらには旅行や長距離移動の際にもスタッフが付き添うことができます。
終末期においては、退院直後の集中的なケアや、ご家族が一息つける時間を確保する一時的な支援、看取りに向けた長時間の見守りまで、状況に応じたきめ細かなサポートが可能です。
寝具衛生加工サービス
ご自宅から布団やマットレス、毛布を引き取り、専用の機械ですみずみまで水洗い・乾燥・消毒を行います。
日光や風にあてて干すことが難しい住宅環境やご事情のある方でも、清潔でふかふかの寝具を手軽に利用できるのが特長です。
布団の内部まで洗浄することでノミ・ダニを徹底的に駆除し、ハウスダストを取り除くと同時に脱臭効果も発揮。
高齢者やご病気・ケガなどで日常的な布団干しが困難な方、密集住宅で日光が不足するご家庭、衛生面でサポートが必要な方などに最適な寝具ケアサービスです。
寝具クリーニングサービスを低額で提供している市区町村もありますので、まずはお住まいの市区町村にお問い合わせください。
身元保証・死後の手続き
身元保証サービスとは、老人ホーム入居時や病院入院時に必要となる身元保証人・連帯保証人を引き受けるほか、終末期医療の同意手続きや医師との折衝、逝去後の葬儀・供養の手配、残置家財の整理・処分、各種の死後手続きまでを、ご家族に代わって一貫して代行するサービスです。
単身生活を送られている方や、家族に頼ることが困難な方々を対象に、終身のサポートを専門とする高齢者等終身サポート事業者によって提供されています。
身元保証についてはこちらをご覧ください。「身寄りのない方のための身元保証サービスを知ろう」
こちらもあわせてご覧ください。「死後手続&身元保証で老後の不安解消!高齢者等終身サポート事業者一覧」
【参考資料】:2020年3月(株)日本総合研究所 QOLを高める保険外(自費)サービス活用促進ガイド、平成28年3月厚生労働省 農林水産省 経済産業省 地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集
介護保険外のサービスについては、ご自身やご家族で情報を集めていただく必要がある場合が多いです。
ケアマネージャーさんなどにご相談いただくことも可能ですが、状況によっては優先度が低かったり、情報が不足している場合もあるため、対応が難しい場合もございます。
そのため、市区町村のウェブサイトや地域のサービスをインターネットで調べたり、直接問い合わせたりすることが大切です。
介護保険と介護保険外(自費)サービスの違いとは
介護保険サービス | 介護保険外サービス | |
---|---|---|
定義 | 介護保険法に基づく公的制度 | 民間の自費サービス |
対象者 |
・65歳以上で要支援又は要介護と認定された方 ・40歳以上65歳未満で特定疾患により要支援又は要介護と認定された方 |
年齢や要介護度に関わらず誰でも利用可能 |
自己負担割合 |
・原則1割(一定以上所得者2~3割) ・支給限度額が設定されており、超えた分は全額自己負担 |
全額(10割)自己負担 |
利用回数 | 支給限度額の範囲内で利用できる回数 | 必要なだけ利用可能 |
利用方法 | お住まいの市区町村の介護保険担当窓口で申請 | 直接事業者にお問い合わせをする |
基本的には、介護保険外サービスをご利用になる際は、まず介護保険の給付限度額内でサービスを活用し、足りない分のみを介護保険外サービスで補うことをおすすめいたします。
介護保険サービスと保険外サービスを効果的に組み合わせることで、幅広く充実した介護が提供でき、結果的に介護にかかる負担も軽くなると考えられています。
介護保険外サービスの魅力と課題
柔軟な対応で叶える個別ニーズ
介護保険外サービスは、通常の介護保険サービスでは対応できない特別なニーズに応える柔軟性が大きな魅力です。
例えば、孫の結婚式への外出支援や、急な仕事で留守にする際の親の見守りなど、多様な状況に対応できるサービスを提供しています。
このような利用者のニーズに合わせた臨機応変なサポートが介護保険外サービスの魅力となっています。
地域社会における認知度向上への課題
1. 保険外サービス紹介の壁
ケアマネジャーさんは利用者と介護保険外サービスをつなぐ重要な役割を担っていますが、「価格認識のギャップ」により保険外サービスを勧めることに抵抗を感じる方も少なくありません。
価格認識のギャップとは、介護保険サービスでは、利用者の自己負担は原則として1割に抑えられ、残りの9割は保険者(市区町村等)から介護事業者に支払われます。
つまり、介護事業者は提供したサービスの対価として、利用者からの1割と保険者からの9割を合わせた全額(10割)を受け取っています。
一方、介護保険の対象外となる民間の介護保険外サービスでは、利用者が全額(10割)を自己負担するのが原則です。
一部の介護事業者はこの利用者の自己負担額の金額差を見て、「民間サービスは高すぎる」と評価することがあります。
介護事業者自身も提供するサービスに対して10割の報酬を受け取っているにもかかわらず、民間サービス事業者が同様に10割の対価を求めることを「高すぎる」と評価し連携に消極的な姿勢を示すのは、公平とは言えません。
実質的には同じ価格構造であるにもかかわらず、利用者の自己負担額の違いが、この認識のずれを生み出しているのです。
この認識のずれを解消し、介護保険サービスと保険外サービスが適切に連携することが、利用者にとって真に必要なケアを実現する鍵となります。
2. 地域への周知不足と認知の低さ
介護保険外サービスは、その存在や内容が十分に地域に浸透していないのが現状です。
多くのシニアの方やその家族、さらには介護従事者までも相談先がわからないといった理由から利用を見送っている現状があります。
特に単身のシニアの方や家族の支援が薄い方にとっては、こうしたサービスの認知不足は日常生活のリスクを高める深刻な問題となり得ます。
行政や地域包括支援センター、社会福祉協議会といった機関と民間事業者の間での連携を深め、信頼性の高い情報提供と仕組みづくりに取り組むことが不可欠です。
ガイドライン策定、認証制度整備へ!
2025年2月、「介護関連サービス事業協会(CSBA)」が設立されました。
介護保険外の生活支援や配食サービスなどを提供する10社が加盟し、サービスの信頼性向上と認知度向上を目的としています。
今後はガイドラインや認証制度を整備し、利用者が安心してサービスを選べる環境づくりを進めます。
経産省や厚労省も後押ししており、介護を取り巻く新たな支援体制の構築が期待されています。
最後に
介護保険外サービスは、政府も『地域包括ケアシステム』の一環として位置づけており、民間事業者との連携や多様なサービス提供を後押しする方針を示しています。
今後、社会的な認知や信頼性が高まっていくと見られます。
もちろん、利用者にとっては『費用が全額自己負担になる』という点が課題となりますが、介護保険制度と上手に組み合わせることで、より安心で快適な生活を実現することが可能です。
必要なときに、必要なサービスを選べる時代だからこそ、保険外サービスの正しい理解と賢い活用が、これからの介護において重要な鍵となるでしょう。