身寄りのない方が終活に必要なこと
「豊かな人生を後悔なく送るために、老後や終活の準備が重要です」という声がますます多くなっています。
一生懸命働き続けた人生の集大成とも言えるこの時期に、計画を立てておくことは、自分自身だけでなく、家族や周囲の人々にも大きな安心感になります。
老後や終活の準備は、金銭面だけでなく、身体的・精神的な側面も含めて総合的に考える必要があります。
まず、財政面での準備として、年金や退職金、貯蓄などの資産を見直し、適切な運用方法を検討しましょう。
将来の医療費や生活費の見積もりも行い、それに見合った計画を練ることが重要です。
また、身体的な側面では、健康状態を維持するための生活習慣を見直すことが必要です。
バランスの取れた食事や適度な運動は、健康寿命を延ばす一助となります。
定期的な健康診断も怠らず受けることで、早期の予防や治療が可能です。
さらに、趣味や社交活動など、楽しみを持ちつつ、孤独感を軽減できる方法を模索しましょう。
人生の先にあることを前向きに捉え、人とのつながりを大切にすることで、充実した老後を送ることができます。
そして、終活の準備も忘れてはいけません。
遺言書や遺産の整理、葬儀の形式など、自分の意志を尊重した準備をすることで、身内の方々や周囲の方に負担をかけず、円満な形で旅立つことができます。
老後や終活の準備は、一度の計画だけでなく、定期的に見直しを行うことも大切です。
社会や環境の変化に合わせて柔軟に対応することで、安心感を持ってこの人生の新たなフェーズを迎えることができるでしょう。
1. 自分の現在と今後の収入と支出を知ること
年金を把握する
老後の収入として、多くの人が頼りにしているのは公的年金です。
年金の支払月は、2月、4月、6月、8月、10月、12月で、それぞれの支払月には、その前月までの2か月分の年金が支払われます。
例えば、4月に支払われる年金は、2月、3月の2か月分です。
自分の年金見込み額を知りたい方は、毎年誕生日ごろに送られてくる「ねんきん定期便」に記載されているので、確認しておきましょう。
保険の見直し
ほとんどの方が、「つきあいで」「すすめられて」という理由で加入したケースが多いです。
定期的な見直しを必ず行うことが重要です。
貯蓄型なのか掛け捨て型なのか、また保険金の受取人は誰になっているのか確認することも必要です。
もしかしたら、保険金の受取人がすでに亡くなられていることもあります。
その場合は、保険契約の変更や保険の解約手続きを行いましょう。
気付かずに、すでに亡くなられた方を保険金の受取人として登録したままにしておくと、その保険金は相続人に支払われる可能性があるため、注意が必要です。
保険契約の変更や解約手続きはご本人のみが可能です。また、ご本人に判断能力がない場合には行うことができません。
たとえ、ご本人と生前事務委任契約を結んでいたとしてもご本人の意思確認を求められます。
不動産の売却
ご自宅を所有されている方で、将来的に高齢者施設への入居を検討されている場合、その際には高齢者施設の入居費用を賄うために、ほとんどのかたがご自宅の売却を検討されると思います。
しかしながら、ご夫婦の一方が高齢者施設に入居し、もう一方がご自宅に住み続けるケースもあります。
このような場合、不動産を売却する選択肢以外に、「リバースモーゲージ」や「リースバック」といった選択肢も考えられます。
●リバースモーゲージ
・自宅に住み続けながら、自宅を担保として老後資金を借り入れる。
・その後は、少額の利息を支払う。
・死亡時に自宅を売却することで、完済する方法。
・条件(年齢・所得など)が厳しく、活用しにくい。
●リースバック
・自宅を売却して現金化し、売却後も住み続けることができる。
・その後は、買主に家賃を支払い売却した自宅に住み続ける。
・適応条件に幅があり、活用しやすい。
・買取代金は、一括で支払われる。
リバースモーゲージまたはリースバック、どちらの方法でも一度にまとまった資金を得ることが可能です。
これらの資金を活用して高齢者施設の費用を賄うことができます。
現在、空き家の数が急激に増加しており、これは深刻な問題として取り上げられています。
高齢者施設の老人ホーム等に入居して、居心地が悪かったら自宅に戻るという選択肢を残して起きたいという考えは理解できます。
しかし、空き家をそのまま放置せず、家族と協力して解決策を共に検討し、またお元気なうちに適切な処理や対策を検討されることをお勧めします。
2. 終の棲家を探す
老後の住み方は2つです。
介護をしてくれるご家族がいる方は、ご自宅で最後まで過ごすことも可能かもしれません。
身寄りのないおひとり様やご夫婦2人だけの場合には、高齢者施設などの老人ホームへの移転を検討することが適切だと考えられます。
高齢になると、自宅がゴミ屋敷になり火災になる危険性や夜間に徘徊して警察に保護されること、警察が近隣の方に様子を聞きに訪ねることがあるため、周囲に迷惑をかけてしまうことも考えられます。
しかし、高齢者施設などの老人ホームに入居してしまえば、高齢者を狙った詐欺に遭う可能性も減少し、安全な環境で孤立死も防ぐことができ、常に支援の目があるため安心です。
その結果、定期的にまわってくる地域の自治会の当番に参加できなくなってよかったと感じる方もいらっしゃいます。
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3. トラブルを防ぐために「遺言書」を作成
これまでの遺言書は、主に遺産の分配に重きを置いてきましたが、身寄りのない方や家族に頼りたくないという強い意向を持つ方々が増加している状況において、遺言の意味合いも変化してきています。
身寄りのない方等の場合は、亡くなられた後にかかる費用をその対応にあたる人や高齢者等終身サポート事業者にきちんと支払える手立てをしておかなければなりません。
そのためには、亡くなられた後にかかる費用と、それ以外の遺産を切り離して考えます。
最終的に残った財産をあげたい人または寄付先団体などに対して遺言書による寄付することで、これまで積み上げてきた財産を、家族に気を使うことなく、自身の望む方法で有効に活用することができます。
死後事務契約書において、亡くなられた後の葬儀、供養、遺品整理等について依頼しておいたうえで、遺言書で「○○○○については、死後事務を依頼している人に遺贈する。」と記載しておけば、死後事務の依頼を受任した人や高齢者等終身サポート事業者は安心して、遺品整理を行うことができます。
さらに、遺言書に遺言執行者を指名することで、その指名された遺言執行者には、遺言の実行に必要な権限が付与されます。
これにより、遺産を受け取る人が困ることなく、スムーズに手続きをしてもらうことができます。
このように、「遺言書」と「死後事務委任契約書」を組み合わせることにより、亡くなられた後の事務や遺産の配分がよりスムーズに進むことになります。
4. 困ったときに「事務委任契約」で支援を依頼
生前の事務委任契約とは、家族がいたら普通にお願いするようなことを、依頼すれば家族以外の方が有料で引き受けることができるというものです。
具体的には、「病院に行くから付き添ってほしい」、「銀行の手続きをやってほしい」、「日用品の買い物をしてきてほしい」など。
通常は、自分で判断して依頼しますが、いつでも自分で必要性を判断して依頼できるわけではありません。
急に倒れて入院したとき、判断能力はあるが軽い認知症ようなときには、例外的にご本人にとって必要なことを仕事として行うことができるようになっています。
ただし、ご本人が直接依頼できない状況が、長期間継続する見込みになったときは、任意後見契約の効力発生手続きに進みます。
財産管理について
ご本人に判断能力があり、財産管理を委任することを希望する場合、財産管理契約を結ぶことにより財産管理をすることができます。
ただし、ご本人の財産の中から介護事業者や医療従事者が介護費用や医療費用を受け取るような、両者の利益が相反する場合にはあらかじめ契約の際にこの点の許諾を得ることが必要です。
委任後にご本人から、返還希望があればご本人に財産を返さなければなりません。
なお、委任後にご本人の判断能力が低下し、自力での財産管理は難しいと考えられるにも関わらず、ご本人が説明や説得を理解せず、ご本人からの財産の返還要求が続くような場合は、成年後見制度の利用が検討されます。
【引用】:厚生労働省 「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」に基づく事例集)
5. 「任意後見契約」で将来の認知症等に備える
任意後見契約は、お元気なときに締結するものです。
契約時に認知症で判断能力が十分でなくなっていたら、契約の締結は不可能です。
前述の生前の事務委任契約から、ご本人様に依頼する能力がなくなったときには、この「任意後見契約」に移行することになります。
ご本人に依頼する能力がなくなったとしても、依頼された任意後見人が正式な代理人としてご本人のために仕事を行うことができることになります。
もちろん、認知症を経ることなく亡くなったら、「任意後見契約」は使わずに終わります。
まるで掛け捨てのような契約ですが、誰にでも判断能力を失ってしまう可能性があるため、お元気なうちに準備しておくことは無駄ではないと思います。
6. 「死後事務委任契約」で亡くなった後の手続きを依頼
自分が亡くなった後のことは、自分では決してできません。
身寄りのない方や親族と疎遠の方が、家族以外の方に依頼するときは、「死後事務委任契約」で生前に希望を伝え、実行する権限を与えておかなければなりません。
そうしなければ、葬儀や供養に関すること、または手続きを行う方々は、戸惑いながらも慣例に従わざるを得ないこととなるでしょう。
ご家族がいない身寄りのない方は、お元気な今のうちに、亡くなった後のことを決めておき、それを誰か信頼できる人や高齢者等終身サポート事業者にお願いしておかなければなりません。
そして、お願いされた人や高齢者等終身サポート事業者は、ご本人様が亡くなったという事実を、いち早く知ることができるようにしておかなければなりません。
7. 「医療に関する意思表示書」で医療方針を決める
もしかしたら、ご自分の命にかかわるような病気になったときに、自分自身で医療方針について決断する能力がなくなっているかもしれません。
例えば脳梗塞などで意識が喪失し、救急車で病院に搬送された際には、今後の医療選択や延命治療の必要性などの決定を行う役割を誰かがしなければなりません。
医者は、勝手に医療方針を決定することはできません。
もし、ご本人の価値観や気持ちを理解し、堂々と代弁できるような信頼できる家族がいない場合、自身の医療に関する希望を、書面にして誰かに託しておかなければなりません。
ご本人が病院に搬送された際、意識が喪失している状態でも、必ず連絡が行く相手に、ご本人の意思を記した書面を預けておかなければなりません。
最悪の場合、医療に関する意思表示だけでなく、将来の予想される状況(認知症の発症や亡くなったときの対応など)にわたって、ご本人の意思を託された者はキーパーソンとして立ち回らなければならなくなるのだということも、説明しておかなければなりません。
医療方針は具体的に書きましょう。
延命措置では、心停止時の心肺蘇生、人工呼吸器での延命措置を施すかどうか、経管栄養を与えるかどうか、胃ろうを施すかどうか等、受けるかどうかの意思表示を個別に書き出すと引き受けた者は安心します。
詳しくは、「身寄りのない高齢者の延命治療とは?」をご覧ください。
8. 支援してくれる「人」「高齢者等終身サポート事業者」を探す
身寄りのない方や家族に頼りたくない方は、上述した各種の契約を締結することによって家族の果たす役割を担ってくれる人や高齢者等終身サポート事業者に事前に頼んでおかなければなりません。
ケアマネジャーさんが訪問ヘルパーの派遣について働きかけを行う際、ご本人が適切な判断を下せない状況になっている場合、その方のために適切なサポートが求められます。
このような場合、返答の支援を行ったり、代わりに返答したりする役割をする人が必要となります。
特に亡くなられた後の葬儀や納骨等は自分自身ではできないので、代わりに行う「人」や「高齢者等終身サポート事業者」に頼んでおくしかありません。
1. 知人・友人に頼む
年齢が近いと先に亡くなってしまう可能性がある。
2. 法律の専門家に頼む
頼りになるが、個人事務所だと不安。
お金の管理方法に不安。
3. 自治体や社会福祉協議会に頼む
見まもりサービスや死後事務受任サービスを提供しているところもあるが、まだ少ない。
安心感もあり費用も安いが、地域によってサービスの差がある。
4. 高齢者等終身サポート事業者に頼む
民間団体として増えつつある。
施設入居から亡くなった後のことまですべて行うところもある。
費用は高額になるケースもある。
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「死後手続&身元保証で老後の不安解消!終身サポート事業者一覧」
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「身寄りのない高齢者のための身元保証サービスを知ろう」
最後に
頼れる家族がいないことは、決して珍しいことではありません。
今の世の中で、誰にも起こりうる当たり前のことです。
遠縁の親族に気を使いながら頼むよりも、お金を支払って第三者に頼んだ方が精神的にも楽だという声もよく聞きます。
第三者の選択肢の一つとして、高齢者等終身サポート事業者を検討してみてください。
高齢者等終身サポート事業者は、信頼性が高く、専門的なサービスを提供する事業者です。
ご家族やご親族の有無にかかわらず、さまざまな事情により入院や入所の際に身元保証人を立てられない高齢者の方には、早めに高齢者終身サポート事業者を検討することをおすすめします。
なぜなら、認知症になり判断能力を失ってしまうと、自分で依頼することができなくなるからです。
「誰かが何とかしてくれるだろう。」と考えるのではなく、税金や福祉従事者の業務範囲を超えた善意に頼らないことが大事です。
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